眼鏡やコンタクトレンズは子供の近視を矯正するためにもっとも一般的な方法ですが、これらは近視の進行を阻止することはできず、逆に症状は年月の経過と共に進行します。
アトロピン硫酸塩は検査前(例:屈折や調節遮断)に目の中の毛様体筋を弛緩させて調節機能を取り除く際に使用され、これにより目の症状(例:ブドウ膜炎)を治療する目的で使用することもあります。
数々の調査の結果、アトロピン1%は、アトロピン点眼液を投与されたこどものグループは投与無しのグループに比べて近視の進行を遅らせることが判明しました。つまり、近視の進行が抑制されたことが確認されたのです。
しかしながら、アトロピン 1%は下記のような副作用をもたらします。
シンガポール国立眼科センター(Singapore National Eye Centre)及びシンガポール眼科研究所(Singapore Eye Research Institute)で実施された臨床試験によりますと、低濃度のアトロピン(0.01%)は2年間に亘り近視の進行を 50〜60%遅らせ、しかも副作用は仮に発生しても非常に軽微であることが証明されています。
シンガポール国立眼科センターの研究によりますと、アトロピン0.01%(マイオピン、英語名:Myopine)はアトロピン1%、0.5%、または0.1%と比較して副作用が極めて低く抑えられており、一方で近視の進行を抑制する効果はほとんど変わりません。
また、香港中文大学のセンターによる研究によると、低濃度のアトロピン(0.025%)は、1年間で進行する近視を約50%軽減、副作用が出たとしても非常に軽微であることも証明されています。
2020年11月、日本でも7つの大学病院で行われた研究が「Japanese Journal of Ophthalmology」に掲載されました。この研究の結論は、「基準に従って点眼すれば、低濃度アトロピン(0.01%)は小児の近視の進行抑制に有効かつ安全である」というものでした。
低濃度のアトロピンは、瞳孔の大きさをわずかに増大させるかもしれませんが、子供たちが近視の進行を抑制するためにサングラスや別の眼鏡をかける必要はありません。また、ドライアイやアレルギーなどの他の副作用が出ることは極めて稀です。したがって、低濃度(0.01%、0.025%)のアトロピンは、高濃度(例:1%)のアトロピンよりも安全で、目にやさしく、快適で使い心地の良い目薬といえます。
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